財務トピックス(コンサルタントコラム)

種類株式を活用した事業承継

「昨今、中堅中小企業の承継問題が取り沙汰されている。創業経営者の立場から種類株、中でも複数議決権株を活用した上場促進を提案する。経営陣のオーナーシップを維持する効果があると考えるからだ。相続時の税負担が重い日本で、経営者が複数議決権株を保有しつつ、普通株を上場して資金調達することは事業承継の活路になる。証券取引所などはこうした種類株の活用を柔軟に認めてほしい。・・・」

(日本経済新聞(2018/7/26付)『私見卓見複数議決権で事業承継しやすく タカギ会長 高城寿雄』より引用、 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32573340T00C18A7L01000/)

 

この記事をお読みになっている皆様、「無議決権株式」、「譲渡制限株式」及び「黄金株」といった「種類株式」の言葉を耳にしたことがありますか。

種類株式という言葉を聞いたことはあるものの、具体的にどういったものなのか、また種類株式を活用することで、どのようなことが可能になるのか、を理解されている経営者は少ないのではないかと思います。

 

端的にいうと、種類株式とは、普通株式とは異なる性質を持つ株式のことを言います。

株主は皆、平等であり、また、株式についても、一つ一つの株式は、議決権や配当権等すべて同様の性質を持っているものですが、近年の会社法の改正により、定款の定めによって、自社の経営状況に合わせて、様々な性質をもった株式、すなわち、種類株式を発行することができるようになりました。

 

例えば、自社株の100%を所有するオーナー経営者が、息子である二人の兄弟に自社株を承継するケースを想定してみましょう。

 

長男は、実家の会社でばりばり働いており、将来的にも、経営者である父の後を継ぎたいと考えており、他方、次男は、実家とは離れて公務員として働いており、将来的に実家を継ぐ予定がないとします。

仮に父であるオーナー経営者が、自社株以外にめぼしい財産を持っていないとき、唯一の財産である自社株を兄弟に対して平等に承継しようとしたら、長男と次男にそれぞれ50%ずつの普通株式を承継することになります。長男は、会社の議決権を半分しか持てず、会社の経営権のすべてを承継することができないことになり、他方、次男としても、会社の経営をするつもりもないのに、会社の議決権を半分持っているという状況になってしまいます。これは会社経営状も大きなリスクになり得るでしょう。

 

これに対して、上記ケースにおいて、種類株式を活用すると、例えば、オーナー経営者が長男に対して50%の普通株式を承継し、残りの株式を、無議決権株式という議決権の権利がない種類株式に変更して、次男に承継することで、長男が会社の経営権のすべてを承継したまま、次男に対しても株式を承継することができます。また、長男と次男とでより平等な財産の分け方を実現したいのであれば、次男がもっている50%の無議決権株式について、配当で優先権をもたせることで、長男と次男との間でバランスを取ることも可能です。

 

以上のとおり、種類株式を活用することで、より柔軟な会社設計が可能になっております。

 

特に、事業承継をお考えの方は、一度種類株式の活用を踏まえ、自社の定款を見直すことをおすすめいたします。

定款は、会社の支配権の根幹に関わるものであるにもかかわらず、非上場会社においては、顧問税理士や司法書士等に一任しており、チェックが疎かになっているところも多いかと思います。

会社を乗っ取られてしまうというのは、最悪のケースですが、定款を見直していなかったがために、事業承継等のタイミングで株式を集約する際に、多額の株式買い取り費用がかかってしまったということは珍しくありません。

 

弊社では、事業承継を見越し、定款診断を行っております。

 

特に株式が分散してしまっている企業、経営者とは別にオーナー家が存在する企業は、法的紛争のリスクもあるため、いつでもご相談ください。

以上

【この記事を書いたコンサルタント】
鶴田雄大

早稲田大学大学院法務研究科修了。司法試験に合格後、船井総合研究所に新卒入社。その後、弁護士登録。
企業の事業承継や、承継後のオーナー経営者個人の資産承継までのライフプランを幅広くサポートする資産コンサルティングに従事している。

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