財務トピックス(コンサルタントコラム)

「採算背景」を知った銀行交渉について

  • 「採算背景」を知った銀行交渉を

企業のご経営を推進されるにあたって、銀行は切っても切れない重要な資金調達の窓口。特に、メインバンクの銀行員ともなれば、知識レベルが高くフットワークも軽い担当者が来てほしいものです。

ところで、近年の銀行担当者は「営業車やコピー機のリースがあるなら、うちの関連リース会社を紹介しましょうか?」や「社長個人のご資産・承継の相談にも乗れます」、「社長、お金を借りるだけではなくて、もっとうちの口座の入出金も使ってもらえませんか」といった、資金調達という根幹業務から拡大した「なんでも金融屋」として貴社に訪問しているのではないでしょうか。ある側面では「へえ、そんなことも相談に乗ってくれるのか」と感心する一方、担当者によっては「いや、うちはお金の借り方や財務についてもっと知りたいんだけど、この人商品セールスしかしないなあ」と感じる場合もあると思います。

なぜ、定期預金を集めてお金を貸付していた銀行員は、ここまで多様性に富んだ営業マンになったのか。経営者はこうした「背景」をつかんだうえで、どう銀行員と付き合うべきか。今回はここに焦点を当てます。

 

  • 本業収益低下、高水準の経費…苦しい銀行経営

マイナス金利があちこちで叫ばれるようになって久しく、個人の定期預金金利も雀の涙程度しかつかなくなって当たり前の時代が長くなりました。バブル期には定期預金金利が3%もついた時もあったのですから、いかに金利が低下しており「金余り(お金はあるが、需要がないためにお金を欲しがる人はいない=金利が下がる)」の状態かがわかります。

そして、影響は私たち顧客側だけではなく、いよいよ銀行にもダメージを与える段階となりました。

 

今般、80行ある地方銀行とそのグループの2018年3月期決算のうち、なんと6割にあたる48行について最終減益となり、特に銀行の本業である「融資から得られる金利収益」が平均1%以下となり、最終減益となっていない銀行でも、本業部分だけを見ると多くが減益・赤字転落している状況が発生しています。

「銀行員!高給取りの安定した仕事だね」と言われた時代は過ぎ去り、多数の人件費や装置(ATM・支店)を投入することで収益を得るビジネスモデルが構造不況に陥った瞬間を、今まさに目の当たりにしています。

 

各銀行はこうした状況に何とか対応しようと、相次いで無料だったATM手数料の有料化に踏み切り、また店舗統合によるコスト削減、新卒採用抑制による人件費削減を発表しています。

わずか3年前の2015年4月の大卒採用ランキングでは、三井住友銀行が1位、三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)が2位、みずほフィナンシャルグループが4位で、軒並み1000人以上の職員を採用していたにも関わらず、あっという間に「人を減らせ、店舗を減らせ、コストを下げろ」の大合唱。いかに、金融機関という組織が緊急事態に陥ったかがわかります。

 

お気づきかと思いますが、銀行はもはや「貸出だけではご飯を食べられない」状況です。「銀行員は、融資という手段で企業・産業・社会の血液を循環させる仕事であり…」という銀行員の使命はどこへやら、今や銀行員はありとあらゆる金融商品・関連会社スキームを日夜勉強して売らなければ、自分のお給料が危うくなるかもしれないのです。

  • 「フィーを稼ぎたい」銀行員と付き合う

既に前述した通り、銀行員は今や融資ではご飯が食べられず、その融資を「種」に取引を複合化させ、ありとあらゆる「フィー(手数料)」収益を稼がないといけなくなりました。

 

例えば、社長や経営者一族に買っていただく投資信託                            (販売手数料)

例えば、会社が従業員の方、役員の方に掛ける保険                                (仲介・窓販手数料)

例えば、「私募債」や「デリバティブ」といわれる金融商品の販売              (融資関連手数料)

例えば、日々の入出金を獲得することで得られる振込の収益                  (振込手数料)

 

銀行もこのまま座して死ぬわけにはいきません。金利で食べられないなら手数料収益だ、という傾向になるのも無理のない話。今のマーケット動向では、まだマイナス金利という劇薬の服用はなくなりそうもない状況、むしろ金利はここ数年で低下の一途をたどっており、引き続き銀行が「銀行の本業(ベースとなる収益)」ではなく、「フィー(フローとなる収益)」に傾倒していくことが予想されます(その前に、銀行の業態や金融庁の方針が激変している可能性もありますが…)。

さて、ここで結論です。ご経営者の皆様は、こうした銀行の採算背景を考えれば、今後交渉をする際に以下のような取引(取引振)が意外にも有利な交渉材料になる可能性があります。

 

融資条件が渋いA銀行。でも、毎月の振込は200件以上もA銀行で行っている。

社長個人の資産はB銀行に集中しており、以前から趣味で投資もやっていた。

初めて海外の会社と大口の取引が成約し、来月20万ドルの被仕向送金がある。

 

もちろん、銀行の融資業務には「審査」や「取引経緯」のほか、ありとあらゆる定量的・定性的な調査があり、上記取引があるからと言って100%バラ色の銀行取引が可能になるということはありません。しかし、こうした「取引を複合化せねば」と銀行員が躍起になる時代だからこそ、こちらも融資にばかり目が行って、日々の取引について何となく進めていくのではなく、融資の際に有効にその取引を「交渉材料化」しませんか。

 

「とはいえ、どうやって銀行員に対して交渉していけばいいのか。複数の銀行に行きまくればいいのですか?」

 

いえいえ、それはよろしくない!

こういう時こそ、金融機関と百戦錬磨で交渉をし、ノウハウを持つ弊社金融財務支援部のコンサルタント達が、最もお力添えできる瞬間ではないかと考えております。まず経営相談にお申込みいただければ、ご縁あって筆者も同席できるかもしれません。その際は誠心誠意、対応させていただきます。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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